第4章 自分の場合
今まで、何とも思わずにクッキー交換を見物していた私は、イロスのその言葉を聞いてギクリとしました。
なぜなら私も以前から賭博が好きで、たびたび妻に迷惑をかけたことがあったからです。 私は恐る恐るイロスに訊ねてみました・・・。
「賭博に依存すると、どうして不味いクッキーを美味しそうに食べれるんだい?」
イロスは、真面目な顔になってこう答えました。
「あの男が食べているクッキーは、お節介焼きという名のクッキーなんだ! 相手の女の子はかなりのお節介焼きなのさ。」
「お節介を焼くことは本来、罪なんだよ。 でも、賭博に依存する人にとっては、逆にご馳走になってしまうのさ・・・。」
「ちょっと待った! ねぇイロス、他人の世話を進んでするということは良いことじゃないか! 何でお節介を焼くことが罪になるのか、私には理解できないね・・・。」
イロスは少し考え込むと、こう答えました。
「あのね・・・、あなたの場合どうだったかよく考えてごらん! もしあなたの奥さんが、何でもかんでもあなたの世話を焼きたがる人だったら、嫌になったと思わないかい?」
「人間は自分の行動に干渉されるのが、本来はとても嫌なものなんだ。 でも、賭博に依存するとそうでなくなってしまう・・・。」
「賭博に依存すると、誰に対しても見境(みさかい)無しに迷惑をかけてしまうし、何でもかんでも甘えてしまうんだ。 だから、お節介を焼かれることを喜んでしまうんだ。」
「ふうん、そんなものなのかね・・・。」
「残念ながら、あの娘と男の将来は大変だね。 そして二人とも、すぐにあのリストに戻ってくる可能性が高いんだ。」
「お節介を焼くと、焼かれた人はいつまでたっても一人前になれない。 だから、お節介は罪なんだよ・・・。」
◇
それからも私たちは森の中を歩き、いろいろなカップルたちを見て歩きました。
頭を抱えながら、無心にクッキーをついばむ男、眉間にしわが入り形相まで変わってしまっている娘、飲み込んだものの、どうにもならず顔を真っ赤にして吐き出している男・・・。
殆どの者が苦しみながら、クッキーを飲み込もうとしています。 でも、中には全く食べようともせずに、じっとしている人もいました・・・。
私はイロスに訊ねてみました。
「ねえ、どれだけのクッキーを食べたのか、あの人たちはお互いにわからないのかい?」
「それはね、お互いの秘密なんだよ・・・。」
「どのクッキーを、どれだけ食べたか? 食べ残したか? 全く食べなかったのか? そういったことは相手にはわからない。 秘密になっているのさ・・・。」
「でも一ついえることがある。 相手のクッキーをあんまり食べなかった人は、すぐにまたリストの中に戻ってくることになる・・・。」
「でも、全てのクッキーを食べ終えたとしても、あのリストに戻ってこないとは限らないんだ・・・。」
私はリストに戻ってくるという言葉の意味が、よくわかりませんでした。 だから、イロスにこう訊ねたのです・・・。
「リストに戻ってくるってことは、一体どういうことなんだい?」
「それは、そのカップルたちが別れてしまうということなんだ。 今この時点で、その人が許す罪はどこまでかってことは、もう決まっているのさ! つまり・・・、そのカップルがこの先どうなるのかってことも、既に決まっているといえるんだよ・・・。」
私はその話を聞いて、驚きました。 そして、ハッと思いました。
“では、私と妻の場合はどうなっているのか?” このことが気になってしょうがなくなったのです・・・。
〜続く〜
今まで、何とも思わずにクッキー交換を見物していた私は、イロスのその言葉を聞いてギクリとしました。
なぜなら私も以前から賭博が好きで、たびたび妻に迷惑をかけたことがあったからです。 私は恐る恐るイロスに訊ねてみました・・・。
「賭博に依存すると、どうして不味いクッキーを美味しそうに食べれるんだい?」
イロスは、真面目な顔になってこう答えました。
「あの男が食べているクッキーは、お節介焼きという名のクッキーなんだ! 相手の女の子はかなりのお節介焼きなのさ。」
「お節介を焼くことは本来、罪なんだよ。 でも、賭博に依存する人にとっては、逆にご馳走になってしまうのさ・・・。」
「ちょっと待った! ねぇイロス、他人の世話を進んでするということは良いことじゃないか! 何でお節介を焼くことが罪になるのか、私には理解できないね・・・。」
イロスは少し考え込むと、こう答えました。
「あのね・・・、あなたの場合どうだったかよく考えてごらん! もしあなたの奥さんが、何でもかんでもあなたの世話を焼きたがる人だったら、嫌になったと思わないかい?」
「人間は自分の行動に干渉されるのが、本来はとても嫌なものなんだ。 でも、賭博に依存するとそうでなくなってしまう・・・。」
「賭博に依存すると、誰に対しても見境(みさかい)無しに迷惑をかけてしまうし、何でもかんでも甘えてしまうんだ。 だから、お節介を焼かれることを喜んでしまうんだ。」
「ふうん、そんなものなのかね・・・。」
「残念ながら、あの娘と男の将来は大変だね。 そして二人とも、すぐにあのリストに戻ってくる可能性が高いんだ。」「お節介を焼くと、焼かれた人はいつまでたっても一人前になれない。 だから、お節介は罪なんだよ・・・。」
◇
それからも私たちは森の中を歩き、いろいろなカップルたちを見て歩きました。
頭を抱えながら、無心にクッキーをついばむ男、眉間にしわが入り形相まで変わってしまっている娘、飲み込んだものの、どうにもならず顔を真っ赤にして吐き出している男・・・。
殆どの者が苦しみながら、クッキーを飲み込もうとしています。 でも、中には全く食べようともせずに、じっとしている人もいました・・・。
私はイロスに訊ねてみました。
「ねえ、どれだけのクッキーを食べたのか、あの人たちはお互いにわからないのかい?」
「それはね、お互いの秘密なんだよ・・・。」
「どのクッキーを、どれだけ食べたか? 食べ残したか? 全く食べなかったのか? そういったことは相手にはわからない。 秘密になっているのさ・・・。」
「でも一ついえることがある。 相手のクッキーをあんまり食べなかった人は、すぐにまたリストの中に戻ってくることになる・・・。」
「でも、全てのクッキーを食べ終えたとしても、あのリストに戻ってこないとは限らないんだ・・・。」
私はリストに戻ってくるという言葉の意味が、よくわかりませんでした。 だから、イロスにこう訊ねたのです・・・。
「リストに戻ってくるってことは、一体どういうことなんだい?」
「それは、そのカップルたちが別れてしまうということなんだ。 今この時点で、その人が許す罪はどこまでかってことは、もう決まっているのさ! つまり・・・、そのカップルがこの先どうなるのかってことも、既に決まっているといえるんだよ・・・。」
私はその話を聞いて、驚きました。 そして、ハッと思いました。
“では、私と妻の場合はどうなっているのか?” このことが気になってしょうがなくなったのです・・・。
〜続く〜











