ギャンブル依存症克服はストーリーを読んで!

ギャンブル依存症を題材にした小説はいろいろと有りますが、ここでは読むだけでギャンブル依存症を克服し、防止までしちゃおうって寸法です。 きっとあなたのお役に立てると思います、是非お読み下さいね!

『砂上の街』 第22話仕打ち その3

MAIKOシロウトは出ることを願って打つ

我々は出ることを知ってから打つ


現役パチプロK氏のことば




西田さんは続けた。

「エエか? 我々プロは、遊びでやっているのと違うのや! 穴を開けると、必ずロクでもない連中が来る・・・。」

「プロは出来る限り、休んではならん。 これからネグラは、大切にすることやな・・・。 稼ぐ限りよく覚えておけ。」


俺は自分の甘さを痛感していた。 唇を噛みしめた。

“甘かった! 少し勝てるようになったと思って、いい気になっていた。 俺はぬるま湯に浸かっていたんだ・・・。”


そう思った。 たいした理由もなく店に顔を出さないことが、どんなに大きなリスクであるかもよくわかった。 最後に西田さんが言った、「これからネグラは、大切にすることやな・・・。」という言葉が重くのしかかった・・・。


“確かにそうだ。 好きな時に行って、好きなだけ抜いて帰れるという稼業じゃない。 稼ぐ為にはそれなりの覚悟と技術、そして毎日の下見が必要だ・・・。”


そして、「場」こそが最も大切なものだと初めて気付いた。 俺は「場」の有り難みと大切さに気付いていなかった。


そのせいで、今回西田さんにまで迷惑をかける結果となってしまった・・・。 


俺は西田さんに低調に詫びると、部屋を出てユウコのアパートへと向かった・・・。 歩き続けながら、ふとユウコのことを考えた。 


“ユウコは今頃、どうしているのだろう・・・?” 


考えて見れば、ユウコは可哀想な身の上だ。 それに比べ、俺は恵まれすぎている。 今はいろいろなことが有って実家に帰ることも億劫になっているが、今まで何一つ不自由したことがない・・・。


ユウコの父親は家を捨てて出て行ったという・・・。 俺は実の親ではないにせよ、ちゃんと真面目に働き面倒を見てくれ、仕送りまでしてくれる親が居る。


“それでも・・・。”


俺はふと考えた。 なぜに俺は、こうも家に帰るのが嫌なのだろう? どうして、家を受け入れることができないのだろう・・・?


“オフクロとオヤジが、俺の気持ちを全く考えず行動するからだ!”

“なんだ! その程度で親かい! そこまで出来れば親っていうわけなんだな・・・。 こんなことぐらいなら、俺だっていつでもできる。 あんたら、何をそんな大袈裟に考えてるんだ?”


NHAKUIO39そう考えてみた。 でも一連のことを、繭子のせいにはしたくなかった。 考えて見れば繭子だって、可哀想な身の上だ。 あの子の母親は、いつ亡くなってもおかしくない状態だと聞いている。 このことを考えて俺は心が痛んだ・・・。


“俺と繭子の境遇は似通っている。 でも、俺の方が遥かに子供だ。 そうだ! 俺は今までうまくやってきたように見えたけど、きっと大人に成りきれていないんだ・・・!”


〜そんなことを考えながら、俺は歩き続けた。〜


  


ユウコのアパートに着くと、やはり郵便受けには賃貸のチラシが無造作に投げ込まれたままになっていた・・・。


ユウコが何の連絡も無く留守にしているのは、きっと実家で何かあったに違いない。 でも、それにしては気になることがある・・・。


それはユウコが書き置きすら残さずに、留守にしているということだ。 このことが気にかかった。 ユウコはきっちりとしているから、今までにそんなことは無かったからだ。


俺は歯を磨くと自分の布団だけを敷き、ゴロリと横になった。 ふと、自分の部屋に置かれたパチンコ台のことが気になった。

“ここに持ってくるのも問題だ・・・。”


いろいろと考えて俺が出した結論は、友達の誰かにくれてやるということだった。 幸い、まだ月末までには10日ばかりある。 それまでの間にアパートを空け、どこか次の住処に落ち着けばよいからだ・・・。 


今回実家に帰らなかったということで、ユウコとあのアパートで一緒に暮らすということはできなくなってしまった。 いつ何時、オフクロやオヤジが立ち寄るかもしれないからだ・・・。 そんなことをして、ユウコと同棲していることが知れようものなら、また話がややこしくなる・・・。


俺はそんなことを考えながら、いつしか眠りに落ちた。 この年の大阪はいつになく冬の訪れが早く、厳しい寒さだったことを今想い出す・・・。


〜続く〜



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『キューピッドのリスト』 第1章 キューピッドの仕事

    作 タカビー

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第1章 キューピッドの仕事


昨日、昼寝をしていてキューピッドに出会いました。


キューピッドといえば、羽根の生えた天使をあなたは思い浮かべるかもしれません。 でも私の出会ったキューピッドは、普通の少年でした。


QP1キューピッドというよりは、その辺りにいる普通の悪戯(わるさ)好きの少年といった感じです・・・。


彼は私に会うなり、こう言いました・・・。

「何をそうも悩んでいるんだい?」


“悩み・・・?” 


そうそう! そういえば、目下の私の悩みは今日昼寝してしまったことだったのです・・・。 私は、こう呟き(つぶやき)ました。

「ああ・・・! 今日はね、少し疲れて昼寝をしてしまった。 いろいろとやることがあるのに、情けない・・・。 やるべきことが何ひとつできていないんだよ・・・。」


彼は私にニッコリと微笑んで言いました。

「じゃあ、今から起こることを物語に書けばいいよ! そうすれば、昼寝した時間も無駄にならないからね。」

「普通ね、人間は夢を見てもそのことをすぐに忘れてしまうんだ! でも今回だけ、忘れずに憶えておけるようにしてあげる・・・。」


私は思わず聞き返しました。

「えっ? それって、どういうこと?」


彼は言いました。

「黙って付いておいで!」


彼が私を連れて行ったのは、古ぼけた民家でした。 そこで彼は分厚いノートを広げ、ペラペラとページをめくり、私にそのページを見るように言いました。

「もっかの、出会い希望者リストさ・・・。」


そこにはいろいろな女性の名前がずらりと書かれてあり、彼女たちの住所や年齢、おいたち、職業、性格までもがビッシリと書き込まれていました・・・。


若い人は10代、中には70代の人も居ます。 年齢には全く関係なく、雑然とそのノートは書かれていたように見えました。


私は彼に訊ね(たずね)ました。

「そうか! キミはキューピッド! カップルを作ることが仕事だったんだね。 でもこんなもの見せて大丈夫なの?」


そう言ってから私は、自分が彼に向かってそんな真面目なことを喋っているのことに気付き、思わず苦笑いしました。 まあ夢なんて、いつだってそんなものなのでしょう・・・。


彼は大笑いしながら、答えました。

「大丈夫さ、このことをあなたが想いだす時には夢になるのさ! 目覚めた時には、このノートの中身なんて全部忘れちゃうんだよ。」


「ご覧のように、いつでも出会いを望んでいる人がたっぷりといるのさ! 僕たちの仕事は、そういった人の中から希望を叶えてあげる人を選ぶことなんだ・・・。」


私は彼に訊ねました。

「でも、どういったことを参考にして、キミは出会う人を選んでいるの?」


彼は悪戯っぽく笑いながら私に言いました。

「じゃぁ、このページを見てご覧よ!」


彼の見せてくれたページには、たくさんの娘の名前が書き込まれていました。 

「例えば・・・、うーん、木こりの娘のジータはいい子だけど、まだ15歳だね・・・。 教会番の娘のセーラは、ついこの前失恋して、こころの傷が癒えて(いえて)いない・・・。」

「うーん、どの子にしよう・・・? これといった子が見つからないなぁ・・・。 でも、今日は一人選んで広場に連れて行かなきゃならないんだ、困ったなぁ・・・。」


私は悩んだ顔をしているキューピッドに訊ねてみました。

「気乗りしないのなら、やめておけばいいのに・・・。 そもそも男と女の仲なんて、気まぐれなものじゃないか! どうしてそんなに、きっちりと決めなきゃならないんだい?」


彼は、少しむっとした顔をして言いました。

「これはね、決まっていることなんだ! 誰と誰が一緒になるかなんて、もうとっくに決まっているんだよ・・・。」


私は彼に言いました。

「赤い糸ってわけか? じゃぁ、キミがいちいち選ぶ必要もないじゃないか!」


彼は、少し得意げな顔をして言いました。

「あなたは何もわかってないなぁ・・・!」

kinhyta12「神様はね、ぼくたちに仕事をくださっているのさ・・・。 そして、ぼくたちが誰を選び、誰と誰がくっつくのかもとっくにお見通しなんだ。」

「ぼくたちの収入も決まってるんだ。 ぼくの場合選ぶのは女の子だけれど、一人を選ぶと30スチーヌもらえるのさ!」

「30スチーヌあれば、毎日ちゃんと食事が取れるし、大好きなキャンディだって、ほら! この通り手に入るのさ!」


彼はポケットから色とりどりの可愛らしいキャンディーを取り出すと、嬉しそうに笑いました。 私は思わず吹き出してしまいました。

「キャンディか・・・。 なるほど! そういえば、キミは子供だったんだね!」


彼はまたふくれっつらをしました。

「いいかい・・・? 昔から、ぼくたちキューピッドは子供ということになっているのさ! そして男の子のキューピッドが女の子を選ぶ、女の子のキューピッドが男の子を選ぶんだ・・・。 このことも昔から決まっているのさ。」


私は彼に尋ねました。

「昔から・・・? じゃあ、キミたちは、歳を取らないの?」


「そうさ、ぼくたちは歳をとらないんだ・・・。」


「キミは、いったい何歳なの?」


「だから、歳を取らないんだってば! とらないのに、数えようもないだろ!」

「でも・・・。」


彼は少し考え込むと、こう答えました。

「おそらくボクは、あなたたち人間の歴史と同じ歳なんだよ・・・。」





その後彼はぶつぶつとひとりごとを言いながら、その分厚いリストを前に悩み続けました。 


そして、ようやくその中から一人の娘を選び出しました・・・。

「よし! 今回は仕立て屋で働くマルタにしよう! これでキマリさ・・・!」

彼は嬉しそうに声を上げました。 そして私の目の前で、リストに書かれたマルタという娘の名前を指でなぞりました。


すると、マルタのことが書かれたその1行はリストの上から消え失せたのです・・・。

「さあ、マルタを連れに行くのさ! 一緒においで。」


私は彼に訊ねました。

「マルタって女の子を、ここに連れてくるってわけかい・・・?」


彼はゆっくりとした声でこう囁き(ささやき)ました。

「ボクが連れてくるのは、彼女の心だけなのさ・・・。」

 
〜続く〜

『キューピッドのリスト』 第2章 儀式

第2章 儀式


そう言うとキューピッドは、トコトコと早足で歩き始めました。 小股でせっかちな歩き方です。 私は必死で彼に付いていきながら尋ねました。

「そういえば、キミの名前を聞いていなかったね。 僕は、ロジャーっていうんだ。」


「僕の名前はイロス、もう一人の女の子の天使はイリータっていうのさ。」


「ギリシャ神話じゃ、たしかキミはアフロディーテ(注1)の子供ということになっているね。 これは本当かい?」


「へー! 見かけによらず、よく知ってるんだね!」

「でも、キューピッドはもともと二人居たのさ。 このことは誰も知らないはずなんだ・・・。 さあ、着いた。 ここがマルタの住んでいるところだよ。」


彼はそう言うと、懐から小さな横笛を出しました。 そして一軒の仕立て屋の前に立つと、その笛を吹き始めました。


その笛から流れてきたのは、いかにも切なく寂しそうな音色でした。 でも、その不思議なメロディーを聞いていると、誰が吹いているのか気になって気になってしょうがないのです・・・。


しばらくすると、その家の中から一人の少女が出てきました。 少女は手に小さな手篭(てかご)を持っています。 彼女は膝を屈めて我々に一礼すると、こう言いました。

MARTA「嬉しいわ! やっと素敵な人とめぐり会えるのね!」


「さあマルタ、一緒においで! 今日はキミにとって、一番嬉しい日になるのさ!」 イロスはそう言ってマルタに微笑みかけました。 マルタは少しおでこの広い、可愛らしい少女でした。


 


私たち3人は街から森の中へと入り、しばらく歩き続けました。 森の中は優しい木漏れ日が差し込み、湖では水鳥たちが楽しそうに泳いでいます。


不思議なことに夢の中だったにもかかわらず、今でも私はその森の匂いも、鳥たちのさえずりも、湖に反射する陽の光も、ちゃんと憶えているのです・・・。


突然私たちの目の前に大きな広場が広がりました。 広場には大勢の人々が集まっています。 イロスが叫びました。

「さあマルタ、着いたよ! ここでキミはクッキー交換をするんだ!」


「クッキー交換・・・?」 私は思わず、声を上げてしまいました。 イロスが得意げに答えました。


「ここで出会った者は、お互いクッキー交換をするんだ! クッキー交換は男女が一緒になる為の、儀式のようなものなのさ。」


私はイロスに訊ねました。

「儀式・・・? 一体、何の為にする儀式なんだい・・・?」


イロスはマルタが手に持っている手篭を指差して言いました。

「この篭の中にはね、罪という名のクッキーが入っている。」

「罪という名のクッキーは、誰もが持っているんだ。 この中には今までこの子が犯してきた罪が詰っているのさ! それをこれから一緒になる人と交換し合う・・・。」


「それから、どうするんだい?」


「交換した後で、お互いクッキーを食べあうのさ。」


「じゃぁ、何の為にそういったことをするんだい? 私にはサッパリわからないよ・・・。」


「男と女が一緒になるということは、お互いの罪を許すっていうことなんだ。 つまり相手のクッキーを食べるということは、その人の罪を許すということになる・・・。」 


イロスは少し真面目な顔つきで、そう言いました。


〜続く〜

『キューピッドのリスト』 第3章 罪の交換

第3章 罪の交換


私には、イロスの言葉の意味があまりよくわかりませんでした。 そんな私の気持ちを察したのか、イロスはこう言いました。

「あなたには、多分わからないだろうね。 でも、今から始まることを大きな目を見開いて、よく見ておくといいよ!」


イロスがその言葉を喋り終えたその時、広場で大きな歓声が上がりました。 イロスがマルタに向かって叫びました。

「さあマルタ、お行き! キミが幸せになることを祈っているよ!」


歓声が止むと、広場に居た人々はいっせいに男女に分かれました。 そしてみんな一列に並び、そのまま向き合いました。


女の列の先頭にはイロスが、そして男の列の先頭には女の子のキューピッドがいます。 きっとこの子がイリータというキューピッドなのでしょう・・・。


並び終えた列を前にして、二人のキューピッドたちは声を合わせて叫びました。 

「只今より、クッキー交換を行います!」「クッキーを食べ終えた人は、そのまま帰ってお家で待つようにね!」

「今日から、きっかり3日後にあなたたちは運命の出会いをすることになります。」

「それでは始めてください!」


掛け声とともに二つの列が崩れ、一瞬にして広場はダンスホールのように男女のペアで溢れ(あふれ)ました。 ペアになった者たちは嬉しそうに腕を組み、好みの場所へと散っていきました。


そしてカップルたちは、あちこちで抱き合った後、各々が持っている手篭を交換しました・・・。


そして背中合わせになって座ると、交換した手篭を広げクッキーを食べ始めました。


私は、イロスに聞いてみました。

「ねぇ、人の出会いって、今までからずっとこういった儀式で決められていたの?」


「そうさ、ずっとこのしきたりになっているんだ。 さあ、ボクの後を付いておいで! 面白いものを見せてあげる・・・。」


彼はそう言うと、今度はゆっくりと歩き始めました。 森のあちこちで男女が背中合わせに座って、クッキーを頬張っているのは随分異様な風景でした。


CRYHUI89でも人それぞれ、なぜか食べる表情が違っているのです・・・。 私は一人の女の子を見て驚きました。 その子が涙を流しながら、クッキーを食べていたからです・・・。 私はイロスに訊ねました。


「ねぇ! あの女の子は、泣きながら食べてるじゃないか! 一体どうしてなんだい?」


イロスが答えました。

「あの子はね、心の優しい娘なんだ。 一緒になる人がなぜそんな罪を犯したのか知って可哀想になり、思わず泣いているのさ。」


「ねえ! あの女の子は死にそうなほどつらい顔をして、クッキーを食べているよ。 あれは何のクッキーなんだい・・・?」


彼は答えました。

「あれはね・・・、悪い女癖という名のクッキーなのさ。」


ねぇ、あの子は何度も頑張って頬張っているけど、飲み込めず吐き出してるじゃないか! あのクッキーは一体何なんだい?」


「あれはね、借金という名のクッキーなのさ。」


「なるほど! だんだんと意味がわかってきたよ。 相手の罪が重いほどまずいクッキーってわけか!」


森の中を歩くと、いろいろな人が様々な表情でクッキーを頬張っています。 ところがしばらく歩くと、食べるのがつらいはずなのに美味しそうに食べている男が一人居ました。


「おいおい、あの男はなぜか美味しそうに食べているじゃないか! 一体何を食べているの・・・?」


イロスはゆっくりと私の方を見て、首を横に振りながら答えました。

「うーん、あの男はね、賭博依存(とばくいぞん)なんだよ・・・。」


 〜続く〜

『キューピッドノリスト』 第4章 自分の場合

第4章 自分の場合


今まで、何とも思わずにクッキー交換を見物していた私は、イロスのその言葉を聞いてギクリとしました。


なぜなら私も以前から賭博が好きで、たびたび妻に迷惑をかけたことがあったからです。 私は恐る恐るイロスに訊ねてみました・・・。

「賭博に依存すると、どうして不味いクッキーを美味しそうに食べれるんだい?」


イロスは、真面目な顔になってこう答えました。

「あの男が食べているクッキーは、お節介焼きという名のクッキーなんだ! 相手の女の子はかなりのお節介焼きなのさ。」

「お節介を焼くことは本来、罪なんだよ。 でも、賭博に依存する人にとっては、逆にご馳走になってしまうのさ・・・。」


「ちょっと待った! ねぇイロス、他人の世話を進んでするということは良いことじゃないか! 何でお節介を焼くことが罪になるのか、私には理解できないね・・・。」


イロスは少し考え込むと、こう答えました。

「あのね・・・、あなたの場合どうだったかよく考えてごらん! もしあなたの奥さんが、何でもかんでもあなたの世話を焼きたがる人だったら、嫌になったと思わないかい?」

「人間は自分の行動に干渉されるのが、本来はとても嫌なものなんだ。 でも、賭博に依存するとそうでなくなってしまう・・・。」

「賭博に依存すると、誰に対しても見境(みさかい)無しに迷惑をかけてしまうし、何でもかんでも甘えてしまうんだ。 だから、お節介を焼かれることを喜んでしまうんだ。」


「ふうん、そんなものなのかね・・・。」


NHGBAO89「残念ながら、あの娘と男の将来は大変だね。 そして二人とも、すぐにあのリストに戻ってくる可能性が高いんだ。」

「お節介を焼くと、焼かれた人はいつまでたっても一人前になれない。 だから、お節介は罪なんだよ・・・。」


 


それからも私たちは森の中を歩き、いろいろなカップルたちを見て歩きました。


頭を抱えながら、無心にクッキーをついばむ男、眉間にしわが入り形相まで変わってしまっている娘、飲み込んだものの、どうにもならず顔を真っ赤にして吐き出している男・・・。


殆どの者が苦しみながら、クッキーを飲み込もうとしています。 でも、中には全く食べようともせずに、じっとしている人もいました・・・。


私はイロスに訊ねてみました。

「ねえ、どれだけのクッキーを食べたのか、あの人たちはお互いにわからないのかい?」


「それはね、お互いの秘密なんだよ・・・。」

「どのクッキーを、どれだけ食べたか? 食べ残したか? 全く食べなかったのか? そういったことは相手にはわからない。 秘密になっているのさ・・・。」

「でも一ついえることがある。 相手のクッキーをあんまり食べなかった人は、すぐにまたリストの中に戻ってくることになる・・・。」

「でも、全てのクッキーを食べ終えたとしても、あのリストに戻ってこないとは限らないんだ・・・。」


私はリストに戻ってくるという言葉の意味が、よくわかりませんでした。 だから、イロスにこう訊ねたのです・・・。

「リストに戻ってくるってことは、一体どういうことなんだい?」


「それは、そのカップルたちが別れてしまうということなんだ。 今この時点で、その人が許す罪はどこまでかってことは、もう決まっているのさ! つまり・・・、そのカップルがこの先どうなるのかってことも、既に決まっているといえるんだよ・・・。」


私はその話を聞いて、驚きました。 そして、ハッと思いました。 


“では、私と妻の場合はどうなっているのか?” このことが気になってしょうがなくなったのです・・・。



〜続く〜
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